2008-05-10から1日間の記事一覧

人間というのは現在しか見えないつくづく寂しい生き物なのだと思います。要するに、希望も絶望も人生には本来無用のものなのかもしれない。僕たちはただ、希望も絶望もないこの茫漠たる世界で、その日その日を生かされていくだけ――きっとそれが嘘偽りのない真実なのでしょう。

白石一文『私という運命について』(角川書店、H17、p.324)この本は、小説にしては言葉によりかかりすぎていて(といったらおかしいのだけど)、物語よりは(ってこれもこう書いてしまうとおかしいか)それを動かしている言葉が、こんなふうに部分的に取り…