2010-01-01から1ヶ月間の記事一覧

D・カーネギー(山口博訳)『人を動かす[新装版]』(創元社、1999年)

およそ人を扱う場合には、相手を論理の動物だと思ってはならない。相手は感情の動物であり、しかも偏見に満ち、自尊心と虚栄心によって行動するということをよく心得ておかねばならない。(p.27) この本には確かに「人を動かす」秘訣が沢山書いてある。具体…

鈴木孝夫『日本語教のすすめ』(新潮新書、2009年)

ところが連載を終わり改めて全部を読み返してみると、これは結果として私の色々な分野にまたがるこれまでの仕事の、一種のアンソロジイと言ってよいものとなっていることに気が付いた。そして殆どの記述に一貫して見え隠れしているキイノートは、多くの日本…

白石一文『この胸に深々と突き刺さる矢を抜け』下巻(講談社、2009年)

二度と会うことのない人は、僕たちにとって「もうこの世にいない」のと同じだ。だとすれば、可能性としては会うことができるとしても、決して会うことのない人々で満ち満ちた「この世」なるものは、死んでしまった人々が住むという「あの世」と一体どれほど…

白石一文『この胸に深々と突き刺さる矢を抜け』上巻(講談社、2009年)

我々の生活に不可欠な種々の製品を作り出す会社よりも、使い勝手のいい検索エンジン一つ発案したにすぎぬ会社の方が何倍も利潤を挙げているという現実はやはり間違っている。なぜなら広告主であるメーカーが全部潰れてしまえば検索エンジンの会社は一瞬のう…

天童荒太『悼む人』(文藝春秋、2008年)

「人への優しい振る舞いや感謝される行為が一つでもあれば、十分です。ぼくには、人を裁く権利も、真実が何かを見極める能力もありません。ぼくの悼みは、ごく個人的な営みですから」(p.250) 坂築静人が奈義倖世に、悼みについて語っていたところ。他にも…

2009年に読んだ本のベスト10

はじめて本のベスト10を選んでみた。映画と違って2009年に発表になった作品から選ぶというわけにはいかないので(そんなに沢山は読めないので)、あくまで私が2009年に読んだ本の中からである。2009年の読書数(便宜上書籍単位で数えている)は100冊。マンガ…

長田弘『深呼吸の必要』(晶文社、1984年)

じゃあ、どの「あのとき」が、きみのほんものの「あのとき」なのか。子どもとおとなは、まるでちがう。子どものままのおとななんていやしないし、おとなでもある子どもなんてのもいやしない。境い目はやっぱりあるんだ。でも、それはいったいどこにあったん…