★★★1991年の日本エッセイスト・クラブ賞受賞作。引用は、迷いに迷って三(四)つだけ選んだ。そのうちの一つは私の酒嫌いを代弁してくれているもので、これは私用にするには若干の手直し必要なのだが、まあ大方はこんなところなので、長い引用になったが、酒…
沈黙が落ちた。しばらく逡巡してから藻屑は、ものすごく大事な打ち明け話をするように、あたしの耳元に色のない唇を寄せて、小声でつぶやいた。 「ぼく、おとうさんのこと、すごく好きなんだ」 「うへぇ!」 「……なに、うへぇって」 「いやなんとなく」 「好…
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