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★★★ 例えば草刈正雄なんか私を追いかけて来るのである。嫌だと云っても私に云い寄るのである。私は断固として拒否する。もう拒否する。正調二枚目はたいがい私に云い寄る。 藤竜也なんかはちょっと違う。私は藤竜也が好きで胸がドキドキするが、どうも難しい…
沈黙が落ちた。しばらく逡巡してから藻屑は、ものすごく大事な打ち明け話をするように、あたしの耳元に色のない唇を寄せて、小声でつぶやいた。 「ぼく、おとうさんのこと、すごく好きなんだ」 「うへぇ!」 「……なに、うへぇって」 「いやなんとなく」 「好…
たとえるならまさに、僕がドクターでクライアントが患者。漠然と問題を抱えつつも、どうしたらいいのかわからなくて訪れるクライアントを問診して、症状の原因と回復に向けての方向性を探り出す。問題点を明確にするのと同時に、磨き上げるべきポテンシャル…
(略)おれの長男の目ン玉を賭けてもいいが、あんた、そのパコール帽をかぶるのははじめてじゃないのか」ファリドは、若くして朽ちかけた歯を見せて、にやりと笑った。「いい線いってるだろ?」 「どうしてそんなこというんだい」 「あんたが知りたがったん…
「いいか、ムッラーがなにを教えようと、罪はひとつ、たったひとつしかない。それは盗みだ。ほかの罪はどれも、盗みの変種にすぎない。わかるか?」(p.33) 主人公アミールの父ババの教え。ムッラーは先生。「男を殺せば、それは男の命を盗むこと」で「男に…
多分、いま、手紙は書かれなくなっているのだろう。即時コミュニケーションの手段が発達して、手紙はまだるっこしい感じを持たれるているからである。しかし、手紙でしか伝えられない気持ちもあるのではないか。私はこの本で文字通りの「手紙の書き方」を伝…
青春と読書(集英社)2008年12月号、p.6 佐藤賢一「四十歳の革命」『小説フランス革命』執筆時の話。こういう人が作家になる(なれる)んだよね。すごい。081213-221
あの紅いほっぺたで、酒豪にして愛煙家、更にはキャンディーズの大ファンにしてプラモデル作りが趣味だという。それを知って、人間存在の不可解さと不気味さを、いまさらながら教えられた。 総裁選に出馬したもう一人の立候補者の小池百合子は、石破とは別の…
さだまさし『解夏』(幻冬舎、2002年、p.29)ベーチェット病という、失明することで完治するという、信じがたい病についての、作品の登場人物による解説。『解夏』には表題作の他『秋桜』『水底の村』『サクラサク』の中編が収められていて、どれもさだまさ…
図書(岩波書店)2008年10月号、p.18 坂本満「「本物」と複製、そして版画(上)」えー、これはびっくりだ。私の「有名作家美術展」のはっきりした記憶(つまり自分から行きだした)は1970年からで、だからそれより20年も前のことにしても、だよ、複製の展覧…
未来(未來社)2008年9月号、p.27 佐野弘子「ミルトン生誕四百年 国際ミルトン・シンポジウムに出席して」ミルトン、知りまっせーん。あ、失楽園のミルトン。あー、あ、あ、あれね。若い時の丸暗記が今役に立つとは。こういうこともあるので、暗記が必ずしも…
朝日新聞2008年9月13日、2面 ひと欄「還暦に憲法への思いを歌う沢田研二さん(60)」(文:藤森研)静かに通る言葉を言える人になるのが、まず私の場合は難しい。って、すぐそんなふうに話をもっていくからダメなのね。 「我が窮状」 作詞:沢田研二、作曲:…
「神谷くん!」 谷口を抱きかかえるような格好になって、あまりにビックリして後ろにひっくりかえりそうになった。え? あの……? 頭が一気にぶっとんだ。世界が消えた。全部、消えた。 一生ぶんくらいの時間が過ぎてから、世界がじわじわと戻ってきて、ど、…
佐藤多佳子『一瞬の風になれ 第二部 −ヨウイ−』(講談社、2006年、p.253)こんな友だちが、高校の時にいたら、どんなだったろう。と、晴れがましい自分を想像しているようだから、ダメなのだな。強力な磁力を持つ友だちを見つけられなかったのは、自分のせい…
本の話(文藝春秋)2008年7月号、p.68 藤森益弘「早川龍雄氏の華麗な映画宣伝術 ワーナー映画宣伝部から見た戦後洋画配給の歴史」最終回「早川龍雄氏の……」だけど、この『燃えよドラゴン』の邦題にまつわる話は、早川の上司だった宣伝部長、佐藤正二のもの。…
ウフ.(マガジンハウス)2008年7月号No.073、p.67 斎藤美奈子「世の中ラボ その25 それでも裁判員制度はやってくる?」ほんとに「それでも裁判員制度はやってくる?」んだよね? 裁判員制度については、ずーっと悩み中。自分にそんな資格があるとは思えない…
佐藤多佳子『一瞬の風になれ 第一部 −イチニツイテ−』(講談社、2006年、p.111)主人公は高校1年生。どこまでも爽やかだ。080617-56