2008-10-01から1ヶ月間の記事一覧
荻原浩『明日の記憶』(光文社、2005年、p.141)記憶というのは実に奇妙なもので、私もアルツハイマーではないかと思うような経験をいくつかしている(ど忘れ程度のものではなく、もっととんでもないもの。書くと長くなるし、みっともないのでやめるが)。記…
図書(岩波書店)2008年10月号、p.56 青柳いづみこ「告別のバッハ」ピアニストに限らず、プロ意識を持っていれば、どんなことであれ、似たような気持ちになるのではないか。この私ですら「組版」の仕事で、一銭にもならないのに(つまり印刷屋からは文句など…
それをぶつ切りにしてもらって、家の台所で包みを開けると、大目玉みたいな元のまま取らないウロコが一斉に逆立っていて、私は鳥肌立ちました。触れなくて家人に鍋へ移してもらい、さてこわごわと煮始めます。 鯉は骨もウロコも全部煮て食べるのです。一時間…
図書(岩波書店)2008年10月号、p.18 坂本満「「本物」と複製、そして版画(上)」えー、これはびっくりだ。私の「有名作家美術展」のはっきりした記憶(つまり自分から行きだした)は1970年からで、だからそれより20年も前のことにしても、だよ、複製の展覧…
図書(岩波書店)2008年10月号、p.12 武内紹人「チベット文明のユニークさと普遍性−古文書研究の視点から」世界共通語的な存在だったチベット語……。081027-181
先住民が暮らしていた土地に乗り込み、銃を知らぬ彼らを銃で殺し、その土地に国を作ったアメリカ人にとって、また、よその土地から連行した黒人を奴隷として使って産業の基礎を築いたアメリカ人にとって、自分とは違う人種にいつ復讐されるかもしれないとい…
これほど日本人の食生活になじんでいながら、外ではめったに口にできない。うどん、そばの店はごまんとある。きしめん、ひやむぎもメニューについている。しかし、そうめんはめったにない。麺類の兄弟にちがいないのに、どうして仲間はずれにされるのだろう…
(注:「気風」に「きっぷ」、「男粧」に「おとこなり」、「男振」に「おとこぶり」のルビ) 本(講談社)2008年10月号、p.41 三橋順子「日本人は女装好き?」芸者分析はそうなのかもしれないが、次の結論はどうなんだろ。「性別越境的なものを「変態」とし…
本(講談社)2008年10月号、p.40 平敷安常「ロバート・キャパになりたくて」平敷安常は、元・米ABC放送カメラマン。戦争は、ベトナム戦争。081023-177
まさに、その典型例が、明智光秀という武将なのだと知った。我々が知る光秀像は、秀吉が天下を取ったあとに書かれた『太閤記』を代表とする軍記読み物によりでっち上げられた――というより、創作された――エピソードをもとに作り上げられてきたのである。 真実…
本(講談社)2008年10月号、p.11 横山泰子「ママでも本」自著『江戸歌舞伎の怪談と化け物』の宣伝文。本屋で見かけても手に取る可能性のなさそうな本だが、北京オリンピックにはじまって、『東海道四谷怪談』を『フランケンシュタイン』まで持ってきて並べら…
未来(未來社)2008年9月号、p.27 佐野弘子「ミルトン生誕四百年 国際ミルトン・シンポジウムに出席して」ミルトン、知りまっせーん。あ、失楽園のミルトン。あー、あ、あ、あれね。若い時の丸暗記が今役に立つとは。こういうこともあるので、暗記が必ずしも…
朝日新聞2008年10月16日夕刊、1面 ニッポン人・脈・記 おーい 寅さん②(署名記事:小泉信一)いしだあゆみの言葉として紹介されていたものだが、プラトニックラブだって終わるでしょ? 終わってしまうプラトニックラブの方が多そうだし。それとも終わらない…
なんてことは、 「はんちゃひら ふんじょらぎばさ けぺそんて へまちょぎっちょれ よじれまいおす」 或いは、 「さらこめて せけのとんなめ ぐるたらみ たれしりちらす あとはへらめも」 といった歌の前に無力で、こんなものは、はっきり言って言葉に対する…
町田康『破滅の石だたみ』(角川春樹事務所、2008年、p.24)「全員が優勝者」だったのに、でも何でかそこからはこぼれていた私だけど、今となっては、バブルはそんなだったような気がしてしまうのであった。081017-171
ランティエ(角川春樹事務所)2008年10月号、p.98 本屋の本屋さん 第2回 リブロ池袋本店 矢部潤子さんすべての本屋さんが自店の棚をこんなふうに作っているんだとしたら、うれしくなってしまう。でない店が多いんだけどね。大型店でもがっかりなところが多い…
城山三郎『そうか、もう君はいないのか』(新潮社、2008年、p.149) 井上紀子「父が遺してくれたもの――最後の「黄金の日日」」城山三郎の遺稿で亡き妻への「ラブレター」と話題の本だが、内容以前に、体言止めの多い文体にのれなかった(完成稿ではないとあ…
江戸東京博物館『ボストン美術館浮世絵名品展』の歌川国芳「(鬼若丸の鯉退治)」の説明文12日に江戸東京博物館行ってきた。本物の浮世絵は北斎のものをまとめて見たことがあるくらいだったので、「初期から幕末までの華麗なる浮世絵の歴史を概観」できるこ…
マルイヤング新宿の外看板にあったコピー。地球温暖化が、広告にまで使われてしまうんではなぁ。冬服の方が夏服より単価が高いんだから(知らないけど)、売れなきゃ困るよーん、が本音にしても、ちょいと持ち出したくなってしまってるのね、地球温暖化。温…
川上弘美『風花』(集英社2008年、p.249)くるりとは回転してないのだけど、どこか以前と違う世界にいるような気分になることがあった。くるりと回転する場面に遭遇したのなら、その謎にも迫れそうな気もするのだが、そもそも私のことだから、くるりと回転し…
※メイクアップレベルごとの効果には個人差があります。これは、カシオEX-Z300(デジカメ)のサイトにあった宣伝文。入念にメイクして、さらに写真でもメイクして、それ以前に整形しておくという手も今ではあるし、しかし何故に、自分無くしの行為に走る!? そ…
きっとこれは、警察の陰謀ではないか。こんな写真の付いたものは、できるだけ日常的に出し入れしたくないものである。だから、違反や、事故を起こさずに、そっとしまっておけよ、ということなのかもしれない。そのかわり、もし、違反、事故の際には、時空の…
朝日新聞2008年10月8日朝刊、34面妻によって語られたノーベル物理学賞に決まった益川敏英氏(南部陽一郎、小林誠の各氏と同時受賞)の生活ぶり。「時間を決めておくと余計なことを考えなくていい」というのはわからなくもないが、何でこんな細かな時間割なの…
asta(ポプラ社)2008年10月号、p.130 蜂飼耳「近づいてくる遠くの山々」(石田千『山のぼりおり』の書評)誰しも山がそこにあったら登りたくなってしまうものと思っていたけど、そうではない人もいるのだな。変人と称されることの多い私だけど、すんごく普…
要するにぼくにとって重要なのは生きている人間ではない、ということみたいです。 asta(ポプラ社)2008年10月号、p.9 池上永一「テーゲーチャンプルー 第二十四回 優先的関係」これでもかというくらい宣伝されている池上永一の新刊『テンペスト』だけど、読…
――という一文を、幕末の思想家・吉田松陰を語る文面の中に、私たちはしばしば見つけることができる。その文言は、たった十行ほどの紹介文の中にも我が物顔でおさまっており、彼の残した数々の業績を浸食している。「松下村塾を開いた人」と同じくらいの比重…
最新作の『窓の魚』と次回作は、自分の中ではまどろっこしい東京弁で書きました。しばらく東京弁用の脳みそを使って、そこが疲れちゃったから、いま書いているのは大阪弁の作品。きっと脳みそがバランスを取ってるんやと思います。意識してというわけじゃな…
図書(岩波書店)2008年9月号、p.31 中井久夫「私の日本語雑記−十四 われわれはどうして小説を読めるのか」そうなんだ。だったら、言葉でもって世界を掴まえたいという願望のある私って……。081004-158
朝日新聞2008年10月2日、30面 つなげる 「生きる」瞬間 谷川俊太郎さんの詩にネット投稿 10ヵ月で4000件超 「コトバの波紋、面白い」谷川さん語る(署名記事:大井田ひろみ)ミクシィに立ったトピックで広がり、本も生まれた、んだって。引用はしたけれど、…
朝日新聞2008年10月2日、28面 寄席の掛け声 ちょっと待った 「大成功」「日本一」「たっぷり」……(署名記事:井上秀樹)ずいぶん行ってないので想像できないのだが、寄席は落語ブームで、掛け声が乱発気味なんだそうな。昔、やくざ映画のオールナイト上映な…