うちが書く大阪弁は書きっぱなしなんで(笑)、東京弁で書くときは、なるべくまどろっこしい文章にしようと意識してます。トニ・モリスンとかアメリカ文学も好きなんですけど、翻訳文ってまどろっこしいじゃないですか。そこがいい。

最新作の『窓の魚』と次回作は、自分の中ではまどろっこしい東京弁で書きました。しばらく東京弁用の脳みそを使って、そこが疲れちゃったから、いま書いているのは大阪弁の作品。きっと脳みそがバランスを取ってるんやと思います。意識してというわけじゃなく、自然に。
本の時間毎日新聞社)2008年9月号、p.76 [インタビュー]西加奈子 大阪弁東京弁、両方の言葉で(構成:三輪晴美)

いいよなぁ、方言を持っている人。外国語もダメで、東京弁もあやふやで、ようするに言語音痴なんだろか。書くこと自体は嫌いではないのだけど、スラスラというわけにはいかず、それはともかくとしても、よく自分の書いていることが正しいのかどうか、わからなくなって立ち往生しちゃうんだもの。

だから言葉で世界を掴まえたい、という気持ちがあるのかしら。

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