益川敏英さんの妻明子さん(65)は、京都市左京区の自宅で夫からの電話を受けた。「決まったよ」。突然のことで驚いていると、「忙しいから切るね」と、すぐ電話を切られたという。夫の口癖は「時間を決めておくと余計なことを考えなくていい」。毎朝必ず8時2分に家を出て、大学に向かう。「風呂は夜9時36分だ」も口癖だが、受賞の夜はその通りにいかなかったようだ。

朝日新聞2008年10月8日朝刊、34面

妻によって語られたノーベル物理学賞に決まった益川敏英氏(南部陽一郎小林誠の各氏と同時受賞)の生活ぶり。「時間を決めておくと余計なことを考えなくていい」というのはわからなくもないが、何でこんな細かな時間割なのだ。

半端な時間指定は、いい加減になることが回避され、厳密さが保たれるのかもしれないが、それにしてもなー。やはり常人にはない発想だ(ほら、私ってすんごく普通、ってこれは昨日の続き)。そうか、厳密でいようとすると、適度な緊張(日常のことだからね)も生まれそうだものね。半端時間指定生活、いいのかも。

そこまで厳密になれとは言わないが(なられたら困る)、私の母のように、生活時間というものが消えてしまったケースもある。対人関係における時間の約束事はまだまだきちんとし(すぎ)ているから、周囲も、そして多分本人も気づかずにきてしまったと思うのだが、最近、断続的ながら母と一緒に暮らしてみて、その生活時間の成り行きさ加減には驚き、あきれてしまったのだった。眠くなったら眠り、的な生活が、10年ほどのひとり暮らしで、すっかり染みついてしまったようだ。

しかも、同居してみるとこれが案外迷惑で、ま、それは置いておくにしても(私のことだから文句は言ったが)、そして眠くなったら眠り、生活はまだしも(これも直した方がいいんだが)、母の場合、食べたくなったら食べ、にはならず、それを先延ばしにしてしまう傾向があるのだった。我慢しているという感じではなく、それですんでしまうようなのである。

食事の支度をすることをやめて久しく、だんだんそうなってしまったのだろうが、でも食生活くらいは、きちんとしていてほしいではないか。婆さんになって、息子に「規則正しい生活を」って言われるのだって、逆でしょ。たくぅ。

部分引用だから、奥さんの歳だけ書くことになったが、益川敏英氏は68である(どうでもいいことだけど、一応気をつかってみました)。

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