本格的な山のぼりをしたことがない。山は、離れたところからながめるものだと、なんとなく思っていた。けれど、しばらく前に、初登山を経験した友人から葉書がとどいた。もう二度といいと思うか、好きになるか、どちらかだろうと思ってのぼったのですが、楽しかった。はやく、またのぼりたい。文面のことばは、ゆっくり、胸の底に落ちてきた。ああ、そういうものか、と納得した。

asta(ポプラ社)2008年10月号、p.130 蜂飼耳「近づいてくる遠くの山々」(石田千『山のぼりおり』の書評)

誰しも山がそこにあったら登りたくなってしまうものと思っていたけど、そうではない人もいるのだな。変人と称されることの多い私だけど、すんごく普通じゃない。ねぇ(うなずいてくれなくてもいいですよ)。

「離れたところからながめ」ていても平気な人が読んでしまえる山の本、ちょっとだけだけど、覗きたくなった。

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