でも本当は三尺棚1本くらいをひなが一日いじくり回していたい。ときどき、並べた棚を二、三歩下がって眺めて惚れ惚れ。おお、なんと美しい棚でしょう! 左から右へ自然に流れて、まちまちな版型も脈絡を壊さずに美しく収まり、定番もあるべき位置にきちんとあり、おっと目を止めさせる破調の一冊もさりげなく差してある。まぁ、今こんなにのびんりしたことはちょっとやっていられない状況かも知れません。これを一日、棚20本くらいできればいいんだけれど。

ランティエ(角川春樹事務所)2008年10月号、p.98 本屋の本屋さん 第2回 リブロ池袋本店 矢部潤子さん

すべての本屋さんが自店の棚をこんなふうに作っているんだとしたら、うれしくなってしまう。でない店が多いんだけどね。大型店でもがっかりなところが多いのは、「のびんりしたことはちょっとやっていられない状況」なのか。出版不況なのに(だから)出版点数は増えている、ってそれもずいぶんと経つか。

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