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この本の成り立ちがまえがきに書いてある。『本の雑誌』に書いた短文がきっかけでできたのだそうだ。そして、その短文も掲載されている。で、これが滅法面白い。 小生が、最も相性がいいと感じるのは斎藤茂吉である。つねに文章が正直で、鈍重でありながら爽…
著者は、朝日新聞に記者として十二年半勤めたが、「甘いものも辛いものも含む「おやつ」を作って書く人になろう」(p.105)と、えいやっ(?)と退職。パリに製菓留学してしまう。それはいいにしても、「渡仏当初はボンジュールとメルシィと、数は二十まで言…
なぜなら俳句がつきあたれなかった近代思想の核にともかくも接触したのが現代詩であり、それは異文明をみつめてふっと黙ったカナリアの内なる〈唖〉の自己表出とみなせますから。すぐれた現代詩は一種の〈手話〉だとはいえませんか。現代詩の過去になんらか…
ほかの模型メーカーは、つぎつぎとプラモデルの新作を出しました。私のところではあいかわらず、落ち目になった木製模型屋として細々とやっていました。 そんなおり、樹脂を扱っている材料屋さんから「新規に金型を作れないなら、不要になったプラスチック玩…
わたしが何も話さないうちから、なんと多くの人がわたしについて語ってきたことだろう。なんと多くの人がわたしの写真を撮り、それをいかに自分勝手に使ってきたことか。虐待され、辱められて、なお生きている貧しい村娘を、人々は軽蔑してきた。 助けを求め…
「大きいね。トラックが大きいね。」とお母さんはすぐに僕を口真似してからかった。 「大きくはないけど、強いんだ。すごい馬力だ。たしかに十万馬力くらいだった。」 「さては、いまのは原子トラックかな?」お母さんも、けさは、はしゃいでいる。(p.143『…
ポンツーン(幻冬舎)2008年10月号、p.59 辰美イサム「痛風シネマ倶楽部78 終わりから、はじまる物語――。」この連載の存在は知らなくはなかったが、観る前の映画の情報は極力避けているため、ちゃんと読んだ記憶がなかった。したら、最終回なんだって。と言…
図書(岩波書店)2008年10月号、p.12 武内紹人「チベット文明のユニークさと普遍性−古文書研究の視点から」世界共通語的な存在だったチベット語……。081027-181
朝日新聞2008年10月2日、30面 つなげる 「生きる」瞬間 谷川俊太郎さんの詩にネット投稿 10ヵ月で4000件超 「コトバの波紋、面白い」谷川さん語る(署名記事:大井田ひろみ)ミクシィに立ったトピックで広がり、本も生まれた、んだって。引用はしたけれど、…
図書(岩波書店)2008年8月号、p.23 田中優子「江戸に新しい物語を」渡辺京二の『逝きし世の面影』を読んで、江戸時代の日本人というのは今の私たちとはまったく違う人種?だったのかもしれないと思ったものだが、田中優子もそういうようなことを別な角度か…
ほんとの空が見たいといふ、 私は驚いて空を見る。 櫻若葉の間に在るのは、 切つても切れない むかしなじみのきれいな空だ。 どんよりけむる地平のぼかしは うすもも色の朝のしめりだ。 千惠子は遠くを見ながら言ふ。 阿多多羅山の山の上に 毎日出てゐる障u…
朝日新聞2008年7月12日、15面 竹井隆人「KYのすすめ 「異なる他者」とつくる社会」「空気が読めない」というのは、ふつう、やはり否定的な意味で使われてるんだよね。口には出さないまでも、ついそう思ってしまうことが多いものなぁ。けど、山本七平に言わせ…
太宰治『富岳百景』(現代国語2、筑摩書房、S42、p.41)5日に山中湖に行くことになっている(実は今日はまだ3日なのだが、遊びに出かけるのだからと、先回りしてブログの準備をしてるんである。当日更新なんてめったにしたことがないってーのにか)。山中湖…
朝日新聞2008年6月4日、18面 田中慎弥「夢も希望もないから」これで一文かや。なげー。田中慎弥は1972年生まれの小説家(山口県下関市出身)。ここ数年で、第37回新潮新人賞受賞、第136回、第138回芥川賞候補、第34回川端康成文学賞、第21回三島由紀夫賞とめ…
朝日新聞2008年5月29日、15面、私の視点 高村薫「民主主義への脅威なのか 長崎市長射殺に死刑判決」ふうむ。080606-45
18日に観た映画『タカダワタル的ゼロ』(監督・脚本:白石晃士)で、高田渡が言っていた。飲んでる時にね。確かにライブでの彼は真面目で真剣。「いせや」で酒を前にしているのは、別人、なのかなぁ。3年前に死んじゃってるんだから、映画にいる高田渡はもう…