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原題/Disguised: A True Story by Pat Moore 『変装−−私は三年間老人だった』(1988年)の復刊。ロジャー・コールマンの推薦文、チャールズ・ポーン・コンのプロローグとエピローグ、著者の「二十五年を振り返って」というあとがきも付け加えられている。訳…
わたしが何も話さないうちから、なんと多くの人がわたしについて語ってきたことだろう。なんと多くの人がわたしの写真を撮り、それをいかに自分勝手に使ってきたことか。虐待され、辱められて、なお生きている貧しい村娘を、人々は軽蔑してきた。 助けを求め…
母は、その子にお乳をやらないことに決めた。それでその子を育てるのは、わたしたち姉妹の役目になった。母は畑の仕事がいそがしく、とても赤ん坊の面倒は見ていられないというのである。わたしたちはなんとかして、ミルクを調達しなければならなかった。そ…
世界は偶然の塊だ。パターンなんて、見る者が自分の空想を押し付けただけだ 本当は意味なんかありはしない この最低の世界を創ったのは、形而上学的な超越力じゃない。子供を殺したのは神じゃないし、その死体を犬に喰わせたのも運命なんかじゃない 俺たち人…
本(講談社)2008年12月号、p.29 村岡晋一「対話の哲学」ドイツ系ユダヤ人の思想家がどうのこうの、と始まったので飛ばし読みしていたら、後半急に身近な話になって、これがとても面白い。 ただし、最近日本で語られるようになった「対話の勧め」には注意し…
村上義雄編『[フォト・ルポルタージュ]子ども やがて悲しき50年』(太郎次郎社、1995年、p.159) ざっくばらん討論 これからまた、変わり始めるんじゃないかな 出席=井上ひさし、落合恵子、石坂啓 司会=村上義雄 での村上の発言許したら、その大人も許さ…
それをぶつ切りにしてもらって、家の台所で包みを開けると、大目玉みたいな元のまま取らないウロコが一斉に逆立っていて、私は鳥肌立ちました。触れなくて家人に鍋へ移してもらい、さてこわごわと煮始めます。 鯉は骨もウロコも全部煮て食べるのです。一時間…
『グレート・ギャツビー』のあとがき、p.331 村上春樹「翻訳者として、小説家として――訳者あとがき」この文のすぐ前では「賞味期限のない文学作品は数多くあるが、賞味期限のない翻訳というのはまず存在しない」という言い方もしているが、そうだろうか。「…
スコット・フィッツジェラルド、村上春樹訳『グレート・ギャツビー』(村上春樹翻訳ライブラリー、中央公論新社、2006年、p.71)読んでいて飽きることのない文に満たされている本だが、といって訳者の村上春樹が絶賛しているほどにはのめり込めなかった。書…
村上春樹『走ることについて語るときに僕の語ること』(文藝春秋、2007、p.164)それにしても、この題名はなんなんだ。『走ること』や『走ることについて』ではいけないのか。『走ることについて語るとき』で十分でしょ(ちょっと違うか)。そういや、長い題…