アラン・ムーア、デイブ・ギボンズ『WATCHMEN ウォッチメン』(小学館集英社プロダクション、2009年)

世界は偶然の塊だ。パターンなんて、見る者が自分の空想を押し付けただけだ 本当は意味なんかありはしない この最低の世界を創ったのは、形而上学的な超越力じゃない。子供を殺したのは神じゃないし、その死体を犬に喰わせたのも運命なんかじゃない 俺たち人間だ 人間の仕業だ きな臭い煙の中で、俺の胸に残っていた最後の希望が凍りついて、粉々に砕けた 俺は生まれ変わり、無意味な白紙の世界に自分の考えを記そうと決意した それがロールシャッハ(p.202)

ロールシャッハが刑務所にやってきた精神科医マルコム・ロング医師に語った、自分の出自から。

先に映画の『ウォッチメン』を観たのだが、難解で、でもどうにも気になってしかたがなかったのだ。そこで原作を買い求めてみたのだが、これは読んでよかった。映画ではとても描ききれない壮大な物語だった。読み終えてみると、映画化を思いついたことにすら感心してしまう。で、映画ももう一度は観てみなくては。