2008-10-12から1日間の記事一覧

卓也のその言葉を聞いて、のゆりは一瞬、ぞくりとしたのだった。世界がくるりと回転して、目の前に現れたのは今までと同じ世界のはずなのに、ところどころのものの、色や形がいつの間にか入れ替わってしまった、それでもおおかたのものは元通りで、じっと見ているうちに、何が入れ替わって何が元のままなのか、区別がつかなくなっていってしまう、そんな感じだった。

川上弘美『風花』(集英社2008年、p.249)くるりとは回転してないのだけど、どこか以前と違う世界にいるような気分になることがあった。くるりと回転する場面に遭遇したのなら、その謎にも迫れそうな気もするのだが、そもそも私のことだから、くるりと回転し…