当の落語家はというと、案外うれしそうな顔をしない。柳家さん喬が「たっぷりなんて、無責任ですよ」と軽くとがめ、春風亭小柳枝が「こないだ、待ってましたと声を掛けた人が、すぐ出ていっちゃった」とかわしていたのを、寄席で聞いたことがある。

朝日新聞2008年10月2日、28面 寄席の掛け声 ちょっと待った 「大成功」「日本一」「たっぷり」……(署名記事:井上秀樹

ずいぶん行ってないので想像できないのだが、寄席は落語ブームで、掛け声が乱発気味なんだそうな。

昔、やくざ映画のオールナイト上映なんかでも掛け声は流行っていて、主人公がセリフを言う度に「よし!」なんて言葉が飛び交っていた。上級者は「健さん、うしろ、うしろ」と画面の高倉健に敵の場所を教えてたりしてたが、今だったら怒られちゃうかなぁ。いや、私はやってません。じみーに、大人しく観ておりましたとも。

「たっぷり」って、意味もわからないけれど(まさか「もうたくさん」じゃないだろうけど)、これ、掛け声になるのかしら。

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