カーレド・ホッセイニ(佐藤耕士訳)『君のためなら千回でも』下巻(ハヤカワepi文庫、2007年)

(略)おれの長男の目ン玉を賭けてもいいが、あんた、そのパコール帽をかぶるのははじめてじゃないのか」ファリドは、若くして朽ちかけた歯を見せて、にやりと笑った。「いい線いってるだろ?」 「どうしてそんなこというんだい」 「あんたが知りたがったん…

カーレド・ホッセイニ(佐藤耕士訳)『君のためなら千回でも』上巻(ハヤカワepi文庫、2007年)

「いいか、ムッラーがなにを教えようと、罪はひとつ、たったひとつしかない。それは盗みだ。ほかの罪はどれも、盗みの変種にすぎない。わかるか?」(p.33) 主人公アミールの父ババの教え。ムッラーは先生。「男を殺せば、それは男の命を盗むこと」で「男に…

この小説で、僕は初めて書き手として社会の傍観者である立場を捨てたように思う。小説を書きながら、僕は登場人物たちとともに救いに似た何かをこの社会の中に、あるいは自分自身の中に、探そうとしていた。

本(講談社)2008年12月号、p.11 本多孝好「半ば辺りで」そうか。小説家というのは、そういうことだって出来ちゃうんだよなぁ。うらやましがってもしょうがないんだけど。「この小説」というのは、『チェーン・ポイズン』。「講談社創業100周年記念出版「書…