鈴木孝夫『日本語教のすすめ』(新潮新書、2009年)

ところが連載を終わり改めて全部を読み返してみると、これは結果として私の色々な分野にまたがるこれまでの仕事の、一種のアンソロジイと言ってよいものとなっていることに気が付いた。そして殆どの記述に一貫して見え隠れしているキイノートは、多くの日本…

戦後のことになるがNHKのテレビドラマに『事件記者』という、主に警視庁詰めの新聞記者群を主人公にした人気ドラマがあり長いこと放映されたが、そのタイトルのバックに、当時は新聞各社が集中していた有楽町の空に、新聞社の屋上で飼われていた伝書鳩の群れが飛び回っている光景が必ず映し出された。なぜそんなことを覚えているかというと、戦前までの麹町はトンビやカラスが《制空権》を握っていて、鳩や雀が安心して飛べる空ではなかったからで、さすが有楽町は都心だと感心したためである。

ちくま(筑摩書房)2008年11月号、p.23 鈴木理生「いにしえ東京歳時記 16 鳩屋」麹町に「鳩屋」、それも「伝書鳩とその関連商品をひさぐ大店」があったのだという。「戦争が始まるまで」は。そりゃ知らんわな。とはいえ昔、伝書鳩はもっと身近な存在だった。…

昨今、家の手伝いをする子供というのは棲息するのだろうか。

月刊百科(平凡社)2008年8月号No.550、p.28 陶智子「日本人のお作法3」そりゃ言い過ぎです。けど一瞬ながら、どうだろ、と。以下は上の続きの文。 私が子供の頃、一日のお手伝いのスケジュールがあった。それは、朝早起きをして玄関の前に届けられた新聞と…