戦後のことになるがNHKのテレビドラマに『事件記者』という、主に警視庁詰めの新聞記者群を主人公にした人気ドラマがあり長いこと放映されたが、そのタイトルのバックに、当時は新聞各社が集中していた有楽町の空に、新聞社の屋上で飼われていた伝書鳩の群れが飛び回っている光景が必ず映し出された。なぜそんなことを覚えているかというと、戦前までの麹町はトンビやカラスが《制空権》を握っていて、鳩や雀が安心して飛べる空ではなかったからで、さすが有楽町は都心だと感心したためである。

ちくま(筑摩書房)2008年11月号、p.23  鈴木理生「いにしえ東京歳時記 16 鳩屋」

麹町に「鳩屋」、それも「伝書鳩とその関連商品をひさぐ大店」があったのだという。「戦争が始まるまで」は。そりゃ知らんわな。

とはいえ昔、伝書鳩はもっと身近な存在だった。『鳩』(1952年、監督:野村芳太郎、未見)や『愛と希望の街』(1959年、監督:大島渚)では映画の題材にもなっていたし、なにしろブームだったらしいから。

まーでもですよ。伝書鳩といったら狼煙と同義ってことはないけど、今となってはそんなでしょうか。

ところで、トンビとカラスはカタカナで、鳩と雀は漢字なのね。普通の感覚なんだろうけど、同じ行にあるとですねぇ。

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