2009-09-24から1日間の記事一覧

角田光代『対岸の彼女』(文春文庫、2007年)

父に会ったってナナコは何も言わないだろうに、自分は何も必死に隠しているんだと、うしろの窓をふりかえり、遠ざかるタクシーを見つめて葵は思う。ナナコは何も言わない。客寄せのために内部をごてごて飾りつけしたタクシーに乗っている父を見ても、せこい…