入場券を買って、館内に足を踏み入れると、最初に目にした一枚目の絵画がもう傑作。次も傑作。その次は傑作中の傑作。その次も傑作。その次は名作。さらに傑作。また傑作……といった具合で果てしがない。これは一作ずつ真剣に見ていったら、身が持たない……と思って目の傑作から目をそらす。と、視線の先には大傑作が飾ってあったりするのだから、もうどうしようもない。

原田宗典『たまげた録』(講談社、2008、p.86)

ルーブル美術館で見事“ルーブル熱”にかかってしまった原田宗典と「カミサン」は、しかしこのあと「芸術の殿堂ルーブル美術館の中で、これほど芸術とかけ離れた出来事に遭遇」することになるのだが、この話は導入文ほどには面白くない。

谷川俊太郎(ファンが読んだ方がいいかどうかは?)の来訪で「水中でコサックダンスを踊っているかのようなまどろっこしさ」を体験する原田宗典は見物なんだが。

080906-130