実はこの本がでたときは衝撃を受けました。というのも、「現実世界において世界征服とは、いったい何を意味するのか?」というテーマでミステリを書こうと、構想を練っていたからです。それなのにこんな本が出てしまいました。いわゆる「先を越された」というやつですね。

いくら先行作品があっても、出来が気に入らなければ「これなら自分の方が」と燃えてしまうものですが、この本は違いました。まず「世界征服って、いったい何だよ」から始まって、世界征服の目的、支配者のタイプ、世界征服の手順、世界征服した後どうするか――と、世界征服を各ステージに分けて、丁寧に説明してくれます。しかも博覧強記の岡田さんですから、豊富な例を引いてわかりやすく書いています。完敗です。ワン・アイデアもの、総説である新書であるにもかかわらず、一冊で満足できてしまう、希有な本だといえるでしょう。
本が好き!(光文社)2008年11月号、p.10  石持浅海「総説とアイデア」(テーマエッセイ 心に残る新書たち)

岡田斗司夫の『「世界征服」は可能か?』(ちくまプリマ−新書)の紹介部分。

ここまでめちゃくちゃ褒められちゃったら、読むしかない気分(になってばっかで実際にはまず読まない)になるが、私としては、石持浅海の「現実世界において世界征服とは、いったい何を意味するのか?」という問いかけが知りたいんであって……。あ、だから、それは、岡田斗司夫が答えてる、ってことなのね。

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