――昔の梅干しはかなり塩辛く、その面には塩がふき出ていたように覚えます。お茶受けには、こんもりと砂糖を振り掛けました。

又、お弁当には、必ず真ん中にそれを隠すように入れました。それでもアルミの蓋のその部分に、穴が開くのは常識でした。若い日の懐かしく、忘れ得ぬ思い出です。
月刊ずいひつ平成二十年六月号、p.13 渡辺通「梅干し」

引用はしたけれど、私の記憶に重なるわけではない。話を聞くぶんにはすんなり伝わってしまうから、そんなに離れているのではないが。

とはいえ、数行ながら文体だけだと、世代の隔たりを感じてしまうから面白い。

080614-53