本書に登場するマッチラベルは、不思議に思われるだろうが全てメイド・イン・ジャパンである。特に明治末期から大正初期あたりが最盛期で、国内向け以上に海外へ輸出しており、華商などを通して中国、インド、ロシア、東南アジア、ヨーロッパ、オーストラリア、アメリカまでも行き渡っていた。マッチとしての機能も優秀であったし、輸出用のものは仕向け先の嗜好、生活習慣に合わせて描いた図案は、日本独自の浮世絵の技法を身につけた絵師の巧みさもあって、当時、独特のブランド柄を築き上げ好評を博していた。ただ所詮、低賃金のうえ家内手工業的

加藤豊所蔵編『マッチレッテル万華鏡』(白石書店、2001、p.3)

マッチラベル話の続き。この本に収められたマッチラベルは約6000点だそうで、驚きの意匠が並んでいる。
自転車を漕ぐ象(どんな自転車なんだ!と思うが、ペダルとかはよくわからんのだな)、体が地球儀の象(猿とともに大人気)、相撲取りにしか見えない人魚、それこそ書き出したら大変なことになる。あと金床や消化器など、何でもかんでも図案にしてしまう迫力には、たじたじとなるしかない。

080826-119