荒唐無稽なアイデア勝負の作品に評者は比較的辛めの採点をしてきたが、本作の完成度の高さには脱帽した。特筆すべきは計算の行き届いたナレーションの妙。一人称の主語をことごとく排除することによって、車を運転する主人公から身体感覚を消し、ナビを注視する〈視線〉そのものに変容させる。そして魂が肉体を離れた瞬間「僕」という主語を出現させる皮肉。そのあたりの配慮が心憎い。

きらら(小学館)2008年9月号、p.46 

「きらら」携帯メール小説大賞の第51回月間賞に選ばれたのはトカゲヘッド氏の『運転中にナビの注視はやめましょう』。引用は、盛田隆二による選評。この作品は佐藤正午も評価していて、ダブル受賞となった。

話はありきたりであっても、書き方次第で高評価になるんですな。

http://blog.livedoor.jp/tokagehead/
トカゲヘッドってこの人かしら??(更新が止まっててわからん)

080920-144