「おれいつまでこんなこ、とやってるんだろう」

息が詰まるようでした。声の響きが失われ、なんだか真空ってこういうことじゃないか、という思いが頭をかすめました。
「自分じゃわからないものなの?」
「、わからない……」
絲山秋子
沖で待つ』(文藝春秋、2006年、p.103)

「、」ではじまる会話を書き留めておきたくての引用であって、この部分について何かを語ろうっていうんじゃないんです。登場人物の「太ちゃん」は息継ぎがヘタな、あ、ちがったわ。しゃっくりが止まらなかった、って。それでか。

沖で待つ』は『勤労感謝の日』とは一転して、ですます調で、ゆるやかなのに濃密な、うらやましいくらいの人間関係が語られていく。恋愛にはならない、でもせつなくもどかしい、って、だからあんたは読み違えてるんだってば。そうかな。わかんないけど。

081114-199