2008-12-11 西部劇小説は題名だけ見ればそれとわかる、という発見をしたのを、そのときから半世紀が経過しているにもかかわらず、いまでも僕は記憶している。積み上げてあるペイパーバックのタイトル背文字を上から順に読んでいき、これは西部劇だと思ったら、それを列から抜き出してみる。ほぼ間違いなくそれは西部劇小説であり、表紙絵を鑑賞したのち、西部劇だけを積んでおく列に加えていく。単なる読書とは、内容も方向も明らかに少しだけ違う言葉体験を、十歳前後の僕は楽しんでいたようだ。 か 図書(岩波書店)2008年11月号、p.33 片岡義男「散歩して迷子になる 8 良き刺激は大いにかさばる」読書以前とはいえ、これは相当うらやましい言葉体験だ。081211-219