驚きの連続でした。とくに、鳥の鳴き声に予期せぬ言葉が多かった。ウグイスが「月日星」の声を上げていたり、ヌエが「死」と不気味な声をあげていたり、フクロウが「糊すりおけ」と鳴いて明日の天気を占っていたり。滑稽小説『西洋道中膝栗毛』の「滑稽稿と鶏が啼く」という自己宣伝には、思わずニヤリ。かと思うと、親鳥が「ウトウ」と鳴き声をあげて子供を呼ぶと、子鳥が「ヤスカタ」と鳴き声をあげて答えるという記述まである。「うそ! 信じられない。確かめてみなくっちゃ」。こうして、鳥の声を写す言葉の歴史にのめり込んでいきました。

本(講談社)2008年12月号、p.26 山口仲美「「滑稽稿」と鶏が啼く」
(注:「月日星」は「つきひほし」、「死」は「シー」、「滑稽稿と鶏が啼く」には「コツケイコウ」と「とり」のルビ。「声を上げて」の「上げて」が最初だけ漢字なのは、私の誤植にあらず)

ま、いってみれば「空耳アワー」でしょうか。

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