「そろそろ帰ったほうがいいんじゃないか」
「私と手をつないで図書室の中を歩いてくれませんか」
二人の台詞がほぼ同時に重なった。
島本理生『一千一秒の日々』(マガジンハウス、2005年、p.213)
言葉が重なってしまうことはよくある。けど、ぶつかった途端、そこで口を噤んでしまうと思うのだ。だから、これはうまいやり方ではあるが、ちょっとずるいんじゃないか(同じような場面が前の方のページにもあったのだけど、見つからない。というか、そんなに探してないんだけど)。ぶつかったままで最後までふたりが喋ってしまうのは、相手に配慮してないわけで、そもそも会話が成立していないってことじゃないのか。
081214-222